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【2125 STOREコラム】ものかたり vol.12 陶芸家・萩原千春さんのポット

ポットでお茶を淹れることを、楽しいと思うようになったきっかけがあります。
それが、陶芸家・萩原千春さんのポットでした。
私自身、萩原さんの青白磁のポットを10年近く使っています。
お茶を淹れる。
注ぐ。使い終わったら洗う。
茶器を使うなら、当たり前に行うこと。でも疲れている時や時間がない時は、正直めんどくさくなることがありました。
けれど、手にしたときの収まりや、注いだときの気持ちよさ、そして食卓に置いたときの佇まいまで含めて、このポットを使うようになってから、お茶を淹れる時間そのものが楽しくなりました。
その理由を知りたくて、萩原さんの工房を訪ねました。

萩原さんがポットをつくり始めたのは、大学生の頃。
「それぞれのパーツが、ろくろでこんなふうにできるのか、と感動したんです」
ポットは、本体だけでできているわけではありません。
胴、蓋、注ぎ口、持ち手。それぞれのパーツをつくり、組み合わせていきます。
一つひとつを別々につくりながら、最後にはひとつの道具として自然に使える形にする。
それから約30年。
萩原さんは、今もポットをつくり続けています。

□使いやすさは、細部に
ポットの内側にある茶漉しも、一つひとつ手でつくられています。
茶漉しには本体とは別の土を使い、小さな穴を一つずつ開けていきます。
水通りを考え、穴は裏から表へ。
一見すると気づかないようなところにも、使うときのことを考えた工夫があります。
「ちゃんとお茶を淹れる人に、こたえられるものにしたい」
初めて使う人にも、日々お茶を淹れている人にも。
特別に意識しなくても、自然に、安心して使えること。
長く使ってきた中で感じていた心地よさは、こうした細部の積み重ねから生まれているのだと思いました。

□焼き上がりを考える
持ち手の形や取り付ける位置。
注ぎ口の角度。
ポットは、それぞれのパーツが使いやすい位置に収まるように、ひとつずつ組み上げられていきます。
注ぎ口は、素焼きの前にほんの少し角度を調整します。焼成すると形が動くため、焼き上がったときにちょうどよい位置になるよう、あらかじめその変化を見込んでいるのだそうです。
今見えている形だけではなく、焼き上がったあとの形を考えてつくる。
その積み重ねが、手にしたときの収まりや、注いだときの気持ちよさにつながっているのだと思います。

形や大きさ、色や質感。
萩原さんのポットには、それぞれに少しずつ違った表情があります。
けれどどのポットにも共通しているのは、使う人のことを考えながら、ひとつひとつの工程を積み重ねてつくられていること。
工房を訪ねて、長く使ってきたこのポットの心地よさが、どこから生まれているのかを少し知ることができました。
毎日のお茶の時間に、自然と手が伸びるもの。
そんなお気に入りのひとつを、見つけていただけたらうれしいです。

萩原千春さんの作品はこちらから
https://2125store-k.com/?category_id=6aaa50182a1c6ea72fb29298